(株)東京金融先物取引所の新着情報「8月の取引数量について」によると、「くりっく365」の取引数量は4,066,848枚(前年同月比286.68%増、前月比5.69%減)とのこと。お盆休みという季節的要因に加え、急激な円高で個人投資家による売買見合わせやマージンカットで証拠金の減少が影響したと考えられますが、わたし的には「枚」という単位の使用はやめてほしいと思っています。
“「FX取引に賭博性」証券会社に賠償命令 仙台地裁判決”(5日/河北新報) ・・・04年8月-05年11月の取引による訴訟で、「解約に応じなかったり、証拠金の預託先の明示もなかった」などの問題があり、「損失分に弁護士費用を加えた額の賠償を会社に命じた」・・・という記事ですが、裁判長は「FXは予測不可能な為替レートの変動で高額な損益が生じる射幸性の高い」・「公序良俗に反する」・「経済的合理性があった取引とは認められない」と指摘したようですが、違和感を感じます。まず、裁判長も原告側弁護士も “外国為替取引” の仕組みを理解したうえでの裁判であったか、疑問に思えます。
さらに、最近よく目にする “FX取引=外国為替証拠金取引” とあたかも同一商品であるかのような表記・表現は、将来的には問題です。FXは “Foreign Exchange” の略称であり、一般的に “直物取引もしくはフォワード取引” のことです。外国為替証拠金取引は “Foreign Exchange Margin Trading” もしくは “Leveraged Foreign Exchange” のことで、証拠金を預託しレバレッジを効かせた通貨取引です。それを 「FX取引」と呼称してしまうことは一般投資家の錯誤による取引につながりかねません。便宜上、外国為替証拠金取引をFX取引と呼んでいることを明示しておくことも大切ではないでしょうか。
金融商品のなかでも、最も流動性の高い24時間取引される「外国為替取引」が認知を得るためにも、また「枚」という呼称が「先物取引」をイメージさせることから、”FX” と “先物” を同一のもと取り扱う間違った認識を避けるためにも、外国為替証拠金取引の “統一用語” の啓蒙に、業界としても尽くしてほしいものです。